理解の無いゼネコン・ガタガタの土間コン

職人日記

急に寒くなった中、長野のホテル新築現場で3000㎡の大きな仕事が舞い込んだ。以前、私が指導した欧州メーカー製ブナ材の無垢フローリングの施工である。前回の苦い経験(職人日記「2010年6月某日栃木のリゾートホテルにて」参照)を踏まえ、心して現場に臨む。

そんな気持ちは、現場に入って、無残にも吹っ飛んだ。土間コンクリートのレベルが非常に悪い。建築主は誰もが知っているスーパーゼネコン。ここにフローリング、それも無垢のフロ-ティング工法をしろ!とは、施工管理会社も呆れて物言えず。大きな物件と言う事で、わざわざ来ていた現地メーカーの外人も怒りを通り越し、呆れ果ててしまった。

この現場に限らず、一口に言って、フローリングの下地は、何処もガタガタ。非木質の塩ビ及びプラスチックタイル、長尺シートには気を遣うくせに、何故に木質フローリングの下地に対して、ゼネコンはこうも無頓着なのか?理解に苦しむ。結局、下地の調整に金も時間も掛かり、コストに跳ね返ってくるのは彼らなのに。

糊釘工法でも、フロ-ティング工法でも、下地のレベルに一定の精度が出ていないと、結局はクレームに繋がる事を日本のゼネコンは全然理解していないと言うのが経験値だ。

いま日本に通常に売られている床材で、にっちもさっちも行かない不良品なんてありゃしない。例え中国製品でも、みな一定のレベルには達している。だから肝心なのは施工する人の上手い下手。しかしこれも数年前のマンション不況時に、フローリング職人が喰えずに職替えし、職人全体が篩にかけられて一定水準の技術を持つ人間だけが生き残っている現在、どんな職人でも最低限の技術レベルは維持出来ているのだ。しかしながら低すぎる工事予算、短か過ぎる工期、それに追い打ちをかける酷過ぎる現場の下地….これでは良い工事など望める訳も無し。そこを何とかするのが…………と言われたって、世の中には出来る事と出来ない事があります。

とは言え、工期迫った中で、何とか解決法を見出そうと、無い知恵を更に絞るのだ。