“SPCフローリング”とやら、本当に欧州で流行っているの??

職人日記

知り合いの内装メーカーから、直接、欧州から買い付けたと言う”SPCフローリング”とやらの施工を依頼された。
栃木県内の学習塾。15センチ角の厚み6㎜未満のサンプルを確認して、まずその重さにビックリ!聞けば石が原料、名前の由来は”Stone Plastic (or Polymer) Composite“から来ていると言う。

僅か60m2程、糊釘を使わない置敷工法と言う事で、それであれば昔取った杵柄、勘所は掴んでまっせ!と引受けたら、これが久し振りに職人泣かせの代物。ともかくサネが機能しない。4Gタイプなのに雄実も雌実も小さ過ぎて上手くロックしないし、硬いから直ぐ欠けるし、やっと嵌めてもなかなか馴染まずに、いつまで経っても板面がフラットにならない。1mmのアンダーレイが元から裏面に貼ってあるのだが、サネ裏にはそれが無いから、そこに 集中して荷重が掛かれば、サネは簡単に破壊される。

置き敷のトラブルには過去何度も対応し、解決した自信があるが、今回はそれが活かせない。

ともかく、こんなやり難い床材は、この道30年以上で見たことが無い。私が そう感じるのだから、置き敷工法の経験が無い連中なら、完全にお手上げ、give upだろう。

よくよく考えれば、そもそも5mmちょっとの厚みで複雑なサネを切ろうと言うのに無理がある。HDF基材のラミネートフロアでさえ8㎜。では、このSPCフローリングとやら、何故最初からもっと厚くしないかって?
言うまでも無い。重過ぎて運べないよ!!

突付け箇所で、雄サネを落とそうにも、簡単に切れないわ、カッターでも削れないわ、結局、サンドペーパーでいちいち削って行くしかない。久しぶりのにっちもさっちも行かないブツ、数年前から日本には入っているらしいが、この代物、こんな按配では、どうりで市場でも大手の扱いも聞いた事が無い訳だ。

それでも欧州では、床材ラインナップの立派な一角を占めると言う。
何故?伸縮しない=水場専用として開発されたのだろうか。欧州では風呂場の 浴槽がフローリングの上に置いてあるなんてケースは確かに見た事がある。日本では考えられないが。

欧州で売れているから、安いから、それだけで日本で売れると思ったら大間違い。どんな利点があって、どんな場所に使われるか、でその優位性を欧州同様に日本でも発揮できるのか?それを事前に調べる事は、新しい海外製品導入の際には、mustではなかろうか?

残念ながら、これは床材に限らずだが、ほとんどのケースで前述の事前確認が日本市場の性格とぴったり一致する事はまず無い。
日本に導入しようとする場合、必ず何かしらのcustomizeが必要とされる。当然だ、歴史的、物理的そして精神的な背景が違うのだから。

やっとの事で工事を終わらせ、帰りの車中で内装メーカーの営業マンを懇々と諭したのは言うまでも無い。