本当に薦められる床材…無垢床材に替わり得る商品

職人日記

合板フローリングが、何十年もずっと同じ値段帯にある割には、諸般の事情から、製造方法だけは強烈に難易度が高くなり、結果、メーカーにとっては、儲かるどころか作れば作るほど疲弊している商品になりつつある、と言う事は先般書いた通り。

では木質フローリング歴35年のこの私が、無垢フロアの代わりに、本当に薦めて良かったと、最近とみに思う商品は何か?

それはLVTである。ラミネートベニヤタイルの事。ラミネートフロアをHDFで無く、樹脂タイルで作った商品だ。こんな物が売れると、私は本当はとても困るのだけれど、一方で実際に使った同業の連中が皆、施主から、ゼネコンから、そして納材屋から「良かった」と感謝されるのだから、薦めた当人の私も決して悪い気はしない。世は押しなべて本物志向に傾注する中で、LVTなんて最初はあんなに煙たらがれていたのに、だ。

そのメリットを分析してみよう;

① 最近のLVTの表面性のリアルさには、プロでさえ目を見張る技術・進歩がある。
② 本当にカッター一本で施工出来る。
③ 素材及び素材の改良に拠り、ほとんど施工上のミスに拠る製品トラブルが無い(=「手」を選ばない=プロでなくても貼れる
④ 合板フロア並もしくは以下の値段である。
⑤ 薄いからリフォームにも使える。
⑥ 厚みが薄いので、最初から最後まで、この商品に関わる皆んながとても楽に扱える。
⑦ 柄もぶれないから、とかく色柄クレームの出がちなマンションにも心配無く使える。

私の様に、木質床材一筋でやって来た職人から見ると、とても悔しいけれど、ともかく何もかもが実用的なのである。

そのLVT、欧州ではラミネートフロアを凌駕する勢いで伸長している製品との事。実物を見て貼ったら、私でさえ、大きな可能性を感じるのだから、その背景も良く判る。

本物か本物でないか?そんな事より、関わる人皆んなに取って、良いものかそうでないか?が大事であり、誰にとっても良い物は良い、だから「売れる」と言う、誠に単純、でも厳然たる事実・現実なのである。