変われる者(物?)が一番強い、それはフローリングでも同じ。

職人日記

何とまぁ、暖かい冬だ。従って現場も多い。寒さで手が悴む事も無いから、それはそれで嬉しいのだが。マンションくい打ち問題で販売不振が囁かれる中、一番好調は大手ハウスメーカーの戸建と言う。確かにそれなりの物件で、それなりに高い床材を貼る機会が増えた様に思う。
日本の木質床材も二極化の傾向が著しい。高い物=無垢、安価な物=合板ベースの図式は昔から一緒だが、無垢の調達が難しくなるにつれ、やはりエンジニアードフローリングなる合板に厚い単板を貼った商品を随分見掛ける様になった。これは至極、真っ当な時代の流れだ。

一方で安価品は、相変わらず大した進化が無い。そりゃそうだ、0.何㎜にも薄く削られた木材に、見た目で工夫出来るのは塗装くらいしかありゃしない。環境問題に加え、続く円安でコストが上がる一方の合板、それに比して何十年も変わらない売値、一体どうやって利益を捻出しているのか?何十年もこの世界に居て、永遠の謎である。

それに比べて欧米は流石だ。コストも供給も安定したMDFに、印刷もしくは貼物で、見た目は無垢材と全く区別が付かないラミネートフローリングを廉価品の主流とさせ、無駄のない合理的な施工方法を生み出し、巨大な市場を作り上げた。

欧米では貴重な合板は、高級品にのみ使われるのである。

そのラミネートフローリング、最近では意匠性の進歩が著しい。同調エンボス等当たり前で、ツルツル&テカテカ光った表面など今は昔、最新版は我々でさえ、無垢と見間違う程の出来栄えだ。印刷や貼物は人工物であるが故、意匠性の自由度が高いのだ。それを最大限に活かそうと言う考え方は間違っていない。そりゃそうだ、消費者に施工方法の云々なんか全然関係無い。格好良くて、丈夫で、安価、手触りも無垢に何ら劣らない、そりゃ消費のヴォリュームゾーンでは受けるだろうよ。

パソコン、携帯、車、常にモデルチェンジを繰り返し、世の流行を引っ張っていく。そして文化を作り上げるのだ。それが結果、莫大な消費を生む。

木質フローリングだって然り。いつまでも生産者の都合だけを考えて作ってはいけない。ファッションの様に流行に後れてはいけない。意匠性こそが客を掴むのだ。メーカーは、今こそ合板文化から脱却し、この点を最大限に追求しなくていけないのではないか?