2007年9月某日 マンションの床下でクラゲ!?が取れた

職人日記

商社経由でデベロッパーから呼び出し有り。場所は都内中心部駅前の高層マンションの一室。どう見ても1億円は下らない部屋。

台風の大雨と大風でベランダの排水溝入口に、枯れ葉が堆積、詰まってしまって、結果、ベランダが大洪水となり、一部がリビングに流れ込んだと言う。

リビングに貼ってあるのは、ブランド店舗で使用する様な最高級の欧州のフローリング。一流ブランドであるが故、施工後のメンテ剤も専用のそれがあり、定期的にせっせとワックス掛けをしていたとかで、要は水に浸かったにも拘わらず、何ともない。

では、水は一体どこに行ったのか?

なんとフローリングの下に逃げていた。

フローリングの下地は乾式二重床だった為、水は壁際の隙間から床下に浸入。律儀に掛けたワックスのお陰もあり、フローリングはさっぱり傷んでいないのに、床下のコンクリートは水溜り。そして遮音性能を上げる為にコンクリートと二重床の間に敷いたグラスウールが、水害を受けた。

グラスウールが水を吸って、くちゃっとした姿は、まさに丘に上がって、日光を浴びて死んでしまったクラゲその物!

このままだとグラスウールには、すぐ黴が生え、二重床のパネルは湿気で反りかえり、今は何とも無いフローリングも、やがて波打つ事は明白。全面貼り替えしか解決方法は無いのだが、オーナーは諦めきれず、まず「クラゲ」を床下から引っ張り出し、乾燥させ、様子を見たいと言う。

引っ張り出そうとしても、水を吸ったグラスウールが重くなって、形も崩れて、全然出て来ない事には、流石に参った。

全面貼り替えとなれば、工事の間は引越し止む無し、ホテル住まいも覚悟、となる。その費用と手間は二重床とフローリング如きを交換するレベルでは無い。

貼り変えを実行すれば、傷んでいないフローリングも、言わずもがな、全部ゴミ箱行き。地引網の如くクラゲを引っ張り出す我々の脇で、「100年持つと言うフローリングだったのに…」と、オーナーの恨めしい一言が、今だに頭にこびり付いて離れない。