2006年9月某日 高級アパレル都内店舗にて

職人日記

改装したばかりの店舗の直貼フローリングで、床鳴りが酷いとのクレームで、応援出動要請有り。

当の施工業者曰く、新築では無く改装工事(=長い間に湿気が抜け、内装材には悪影響を及ぼしづらい)に加え、下地には12mmの合板を敷く事で、万全の湿気対策をしたので問題は無いはず、との言い分。

しかし、現場を見れば何かがおかしい。
至る所で、みしみし踏み鳴りがするのに加え、鳴らない箇所の踏み心地も何かが違う。

ふと部屋の隅を見ると、エポキシ系接着剤の硬化剤10kg缶が、封も開けずに置いてある。「これはどうしたのですか?」と聞けば、「余って、そのままになっている」との、最も恐れていたコメントが業者の口から飛び出した。

1:1で混合して使用する事が前提条件の接着剤で、一方が全く手をつけずに余っている。接着剤が固まる訳無いじゃない!!! 要はフローリングが、全く下地の合板に着いておらず、浮いているのである。

接着剤は輸入品でもあるまいし、説明書のみならず缶のラベルにも懇切丁寧に、日本語で使い方が書いてあるのに……いつの時代から、こんな業者でもどうどうと内装工事の看板を掲げ、いっぱしの仕事を請け負う時代になってしまったのか……嘆きばかりが先立つ。