輸入商社を通じ、クレーム解決に呼び出される。
億はするであろう駅前の高層住宅のペントハウス。
フローリングの表面塗装が剥がれ、汚くなって困っているとの事。
現場を見ると、剥がれているのは元々の塗装では無く、居住者が購入し、自ら掛けた市販のワックス剤であった。なんと3回も掛けたと言う。
その理由は、買ってきたワックスの「乗り」が悪かった為、回数を重ねる事で、出来るだけ大量のワックスを、汗水垂らし、自前で塗布したのだと。
驚く無かれ、このフローリングは花梨の無垢フローリング、それも塗装はUVの高級品である。フローリングにUVが使われるのは、化粧品で謳われる紫外線対策では無い。光沢を維持しながらも、磨耗や衝撃に対する高い表面強度や硬度を出す為である。つまり、ワックスなど弾いてしまう程、UVの表面は丈夫なのだ。
これが、UV塗装のメンテナンスフリーたる所以である。
またまた予備知識不足(説明書解読不足)がもたらす悲劇の現場で、「余計な事をしましたね」等と、面と向かって私からオーナーに言える訳も無い。
メンテナンスフリーが良いのか悪いのか、考えさせられる現場であった。
