お手入れシリーズ① 無垢フローリングは削れるのか?

職人日記

誰もが知りたい質問に職人の立場から答えましょう。

「無垢のフローリングを暫く使い込んだ後、改めて綺麗にする時には削って綺麗な面を出し、新しく見せる事は可能ですか??」

⇒「出来ますが、実際にはさせてもらえません」が職人の答え。桐の箪笥の様には行かないのです。

大きな理由から順に言うと….

①再研磨した後に行う塗装の臭いが嫌がられる。
②再研磨時に発生するサンダー木粉が嫌がられる。
③同じく研磨機械の騒音が嫌がられる。

例え嫌がる人がいなくても、現場の環境から見て上記3点全てを容認してくれる先は、非常に稀です。

商業ビルのテナント等、再研磨と再塗装の潜在需要はとても多いと思う。なんたって貼替え程、大層なお金が掛からない。

ただ残念ながら、現場の環境が無垢フローリングのリニューアルを許さない。施主の予算に、貼り替える程の余裕も無いとなると、詰まる所、薄手フローリングの重ね貼りやウッド調タイルカーペット等を上から貼ってしまうのが関の山。

こういう処理を散見する度に、無垢フローリングの良さが生かされていない=その商品生命を著しく短くさせられている事を痛感する。

海外を見れば、浮き床工法(下地への固定に、糊や釘を一切使用せず、ただ置くだけの工法、別名フローティング工法)が非常に多い。これは初めから短期間での貼り替えを想定している為、従来の方法と比べ、貼替え時の手間とコストが例え様も無い程、少ない。

糊や釘の固定式であっても、仕上げはオイル等、重ね塗り出来る形にしてある物も海外フローリングには大変多い。

日本で使用されている無垢フローリングは、歴史的にUVウレタンやセラミックのいずれもクリアー(透明)塗装がほとんどだが、これらは一旦痛んでしまうと再生は非常に難しいのです。

日本の住宅環境特有の条件で、結局寿命が同じなら、無垢フローリング固有の寸法安定性の低さは大きなマイナス点である。環境保護の立場から見ても然り。

見た目は同じでも、無垢フローリングより安価で、無垢フローリングより寸法安定性に優れたエンジニアードフローリングが取って替わるのも近い将来である様に思う。

※エンジニアードフローリング
合板等の基材に、2㎜や3㎜等、厚く削った無垢を貼り付けたフローリング。表面の無垢材に一定の厚みを確保すれば、何ら無垢フローリングと感触は変わらないと言うコピーで急速に伸びているタイプの床材。